福井県立盲学校「音で学ぶ」交通安全教室の開催

株式会社オートテクニックジャパン(本社:栃木県芳賀郡、代表取締役社長:水上聡、以下:ATJ)は、福井県立盲学校(所在地:福井県福井市)に対して、自動車が電動化していく社会に対応した、「音で学ぶ」体験型交通安全教室(以下、本教室)を 実施しました。

 

■活動の背景

 近年、自動車はハイブリッドカーや電気自動車といった電動化が急速に進んでおり、エンジン音のしない静かな車両が増加しております。そのため自動車には、歩行者に車両の接近を気付かせるように、車両接近通報音(※1)を発生させることが法規で義務付けられています。しかし、目の不自由な方が電気自動車の接近に気付かず事故に遭ってしまうケースも発生しています。また、車両メーカー毎で車両接近通報音の音色も異なることから、音を聞き取るには音を認識する学習の機会が必要です。

 ATJでは、車両接近通報音の開発に携わってきたエンジニアの講義と、実際の車両接近通報音の聞き分け学習活動を通じ、視覚障がい者の交通事故遭遇率低減を図るとともにユーザー意見を研究開発に反映させるべく活動を続けていきます。

※1 車両接近通報音:電気自動車などが低速走行時、歩行者に車両の接近を知らせる音響装置(通称 AVAS/エーバス)

 

■開催概要

開催日 2025年6月6日(金)
場 所 福井県立盲学校
人 数 生徒、教員、保護者、行政関係者 50
内 容 1.講義
 ・電気自動車の基礎情報
 ・車両接近通報音の役割と音の視聴
 ・視覚障がい者信号機横断プロジェクト紹介
2.LED付音響装置の説明と体験
3.実車両を使った横断歩道の歩行体験

 

■開催風景・結果

 生徒たちは積極的にプログラムへ参加し、「事故に巻き込まれないようにするにはどうしたらよいか」を自分ごととして捉えるきっかけとなりました。 また、見学された行政関係者や保護者の皆さまにも、実際に「見えにくさ体験」をしていただき、生徒たちの声や気づきをより深く体感いただけました。

 

 

■本教室における連携企業

 本教室では、信号機横断プロジェクトによる、「視覚障がい者における信号横断の課題と展望」と題して、歩車分離式交差点に関する説明や、日本橋での支援アプリや歩行誘導シートの実証実験に関する取り組みをご紹介頂きました。 また、篠原電機株式会社による「LED付音響装置」を横断歩道に設置頂き、自動車が走行している状況で「LED付音響装置」を頼りに横断歩道を歩行する体験を行いました。

 

 

■受講者コメント(一部抜粋)

・電気自動車の音は比較的小さく、日常生活ではバックの音や停止するときの音などを聞くことができなかったため、今回の講義で聞くことができてよかったです。また交通信号の体験でも、振動で教えてくれることや音が聞こえやすいなどの利点があることで、まっすぐ横断することもできたため、良い体験になりました。

・電気自動車の音は耳をすませば聞こえる程度で、誰かと喋りながら歩行する時や大雨・強風の時は聞こえにくいと感じた。横断歩道を渡る時は会話も止めて車の音に意識して渡ろうと思った。信号機は便利な点が多く,使い勝手が良いので実用化して欲しいと本当に感じた。そして当たり前のようにその信号機があればどこでも安心して横断歩道ができると思った。点字ブロック・音響付き信号機の他に視覚障がい者向けの整備や開発をして欲しいと思った。

・様々な方がいらっしゃっていたので、広い視点から安全な横断について考えることができた。体験後に、生徒からの質問にも丁寧に対応してくださり、とてもありがたかった。

・貴重な体験だった。生徒たちも興味深く参加していた。体験が終わってから、街中でも車の音が耳に入ってきて、意識しているのを感じた。

 

■協賛企業・組織

・篠原電機株式会社 コメント

 篠原電機株式会社は創業以来、顧客中心主義を経営理念として顧客にとって必要なものを念頭に開発して参りました。

 大阪で採用されている「音響ポール」は「視覚障がい者用押しボタン箱」より存在感があり、1mの位置にスピーカーと75㎝の高さに押しボタンスイッチを備えた鉄柱のポールを40年以上前に開発して大阪府下に2000箇所以上されています。

 「LED付音響装置」は音響ポールを原型としてより多くの方の安全・安心のために開発して参りました。歩行者信号機が見づらい、探しづらい視覚障がい者が近くで信号が確認でき、1mの低い位置から音響は誘導歩行が容易なっています。 高齢者が渡り切れない横断歩道の青信号の延長用押しボタンも75㎝の高さで車椅子ユーザーも押しやすい位置にあり、難聴者には振動で青信号が分かるようになっています。高齢者・視覚障がい者だけでなく、私たちだれもがより暮しやすい社会を実現するために篠原電気株式会社はこれからも研究・開発していきます。

※篠原電機株式会社 URL (https://www.shinohara-elec.co.jp/)

 

・視覚障害者信号機横断プロジェクト コメント

 視覚障害者信号機横断プロジェクトは、見えない・見えにくい人の移動や信号横断を安心・安全に行えるよう、支援企業と連携し社会実装を目指す視覚障がい者による運動団体です。

 2020年7月から活動を開始し、月一度のオンラインサロンでは全国から多くの視覚障がい者と、その支援者である企業の製品開発者、歩行訓練士、眼科医、大学教授などが幅広く参加し、それぞれの立場から意見交換、情報交換を行う場の提供を行っています。また、信号機メーカー等と連携し、各社との実験にも事務局として参画しています。

※視覚障害者信号機横断プロジェクト URL (https://www.singo-pj.com)

 

■問い合わせ・要望

 ATJ技術開発部では「移動の自由」を掲げて交通安全教室のほか、複数のプロジェクトを推進中です。

移動に課題を感じている方、新たな未来を共に創りませんか?

お問い合わせは下記よりお願いいたします

 

ATJ代表電話:028-677-2671

Email:atjkouhou@autotechnic.co.jp

担当:広報 橋本 / 技術開発 斉藤